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桃の缶づめ

桃の缶づめ

~第3章~

~~~~呪いの椿油 第3章~~~~



千恵子は、語り始めた。彼女の身に起きた、身も凍る出来事を・・

「桃ねえさま、私たちは、人もうらやむ豊かな家に生まれ、両親の愛をいっぱいに受けて育ち、美人姉妹と人から言われておりましたね。なんの、心配も無い、恵まれた環境だったのに、わたくしには
ただひとつ、望んでも得られないものがありました。

それは・・・桃ねえさま、貴女のその美しい黒髪です。からすの濡羽色と言われる、黒髪・・

わたくしの、髪の色は、生まれながらの赤茶色。ねえさまの、その黒髪が、おさないときから、どれほど、羨ましく、ねたましく思ったことでしょう。その思いは、知らず知らずのうちに、黒い焔となって、わたくしの心を蝕んで行ったのかもしれません。

ねえさまに、伯爵さまからの、縁談が来た時、わたくしのその思いは、一層燃え上がったのです。このままでは、一生、貴女に負け続けると・・

そんな時、街で、山奥に独り住み、加持祈祷を生業とする、オババの噂を聞いたのです。そして、オババが、80をとうに過ぎているにもかかわらず、頭髪が艶やかな黒髪であるのは、秘伝の椿油を使っているからだ、という不思議な話を・・

わたくしは、いてもたってもいられず、ひとり、オババに会いに出かけました。なんとかして、その、秘伝の椿油をわけてもらおうと
・・・




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